プロジェクトY

Project Y 未来への光

「夢はみるもの 叶えるもの 夢があるから人生は楽しい 夢があるから頑張れる」

 この言葉は私が校長時代に職員や生徒に語りかけた言葉です。そして50年ぶりの甲子園の夢を実現しました。それから高等学校の教員を退職する時の最後の講話の中で、私はこれから私の夢の実現に向かってチャレンジしていきますと述べました。その夢はプロジェクトYであり、具体的には農と工の融合化であると伝えた日のことはしっかりと胸に留めています。あれから15年以上が経過した今、プロジェクトYの夢は今もなお色あせることもなく継続してチャレンジ中です。これまでの足跡を振り返ってみた時に農業はサイエンスであり自然の植物の力をいただく生物工学の視点は少しもずれることなく応用バイオの道を歩いてきたように思います。そのことは弊社の商品にも表れており、開発のコンセプトが一貫していることを証明しています。それではプロジェクトYはなぜXでなくYなのかを申しますと、長友良夫のYoshioプランでありXの次の段階に進むプランであるという意味です。これまで10年かけて開発した数種の化粧品や無農薬栽培の小麦、そして手作りの石窯で焼いた自家製小麦のパン、特色のある数々の健康茶、PBブランドの焼酎、ボイセンベリーやいちじくなどの四季のジャム、果樹園に実る厳選のブドウとミカン、そして自家農園採取の蜂蜜等、具体的に取り組んできた商品です。しかし、これからが本格的なプロジェクトYです。つまり農と工の融合は農業と林業の融合まで研究の領域を広げ、農工商までしっかりと踏まえた企業としての在り方を実現することが求められています。企業としての成功は、良い商品づくりや社会貢献は勿論ですが、年商いくらかが問われるのも確かです。プロジェクトYは今、メシマコブの研究開発と商品化の最終章を迎えているところです。

研究者としての想い

 私が農工の融合化商品を開発する上で重要視してきたのは「昔から効果の言い伝えがあることには必然的な理由が存在する」ということです。ブドウの樹液に着目したのは、古代ローマ時代から顔や目に使用していていたことを知っていたからです。アララギ石鹸にしてもアララギの木は神木であり、邪気を払う作用があることは想像していましたが、今では樹皮に含まれるタキソールという成分は抗がん作用があることで知られ、メジャーな抗がん剤にもなっています。その他エラグ酸の成分の多いボイセンベリーの栽培、血糖値を下げるDNJ成分に着目した桑茶の商品化など、このように植物のもっている力をいただくことは生物工学であり応用バイオそのものです。また、植物の持つ力や特性をいかに感じとり引き出すかは毎日の食事にも関係するので、薬食同源、医食同源に通じ、健康や美にも作用していくと思うのです。更に安心・安全・健康のための食の研究は予防医学の道に通じ後手の医学から先手の医学としてこれからの大きな課題でもあります。具体的には抗酸化力のアントシアニンやアンチエイジングのエラグ酸・レスベラトロールなど元気で長生きするための食の成分の研究がすすんでいます。今話題のNMNの研究も薬食同源そのものです。
 私はこれまで数多くのバイオ商品開発を行ってきました。確かに研究開発は楽しいのですが、一番はお客様に喜んでいただける商品であるかどうかです。それに商品に対する開発者の想い入れがどれだけあるかは勿論大事です。そうでないと新商品は生まれません。私はブドウ樹液50パーセントのローションを開発するのに3年かかりました。生ものを扱う商品は誰もが警戒します。それに50%の含有なんて過去に例がありません。しかし、20%・30%・40%・50%の試作をする中でどうしても50%が良かったのです。常識を破るだけの熱がないと新しい世界は開かれないということです。このことは私の研究開発のモットーであり、諦めず「為せば成る」の信念はその後の研究の在り方にも影響しています。メシマコブの研究開発はまさにそのものです。
 「教師は良き園芸師でなければならない」と務めた高校の教職時代を第1の波、応用バイオの先生方と交流を深め研究することの楽しさを知った大学17年間の顧問時代を第2の波、そして今、農業はサイエンスであり化けて付加価値の付く農業の実践者、また企業家として、第3の波に向かって人生最後の航海、出港の時を迎えています。

メシマコブとの出会い

 私がメシマコブに出会ったのは、2021年12月1日のことです。
膵臓ガンの手術を受けた姉が再発をし、同じころ甲状腺ガンの手術後、残った片方が要観察中であった妻のこともあり、日本のアガリクスを探していた時のことです。林業家の教え子の案内でキノコが自生している山に入り、幻のキノコを採取した日のことは忘れることができません。その後、抗がん剤治療をうけていた姉にはキノコの粉末を届け、妻にもお茶として飲ませることにしました。その間メシマコブとしての証明が急務で必須であったため、専門機関に遺伝子解析を依頼したのですが雑菌や変異などの問題があり、なかなか苦戦している時に神奈川工科大学が引き受けてくれたのです。2023年6月、大学の応用バイオ科学科のアドバイスで遺伝子配列を解析することができました。おかげ様で姉のすい臓がんは奇跡的に再発から1年後には完全に消滅し、今のところ元気に過ごしています。

メシマコブとは

 国産天然のメシマコブは、語源となった長崎県の女島からも姿を消し、限りなく絶滅種に近い状況にあります。メシマコブは栽培が非常に難しく、天然のものでも直径10cmになるのに約10年の歳月を要するといわれています。メシマコブは薬用キノコの一種で漢方名は「桑黄」、免疫力を高めガン細胞の活性を抑える効果が期待され、韓国では1993年に成分の製剤化に成功し、1998年韓国のノーベル賞といわれる「茶山賞」を受賞しています。現在日本で入手できる天然物はウズベキスタンや中国産のもので、国産の天然メシマコブの発見は困難とされており「幻のキノコ」と呼ばれています。

 国産天然メシマコブの入手が難しい中、天然のものを求めている人の要望に応えるため、バイオ技術でなく自然栽培の物を何とかして届けたく数年前から栽培に着手しました。日本では自然栽培の成功例を確認していませんが、それよりも原菌となる天然のメシマコブそのものがないのが現状です。私は、天然のメシマコブについては少しずつではありますが、林業家の教え子を通じて確保できるので幸いです。今後は同じように思えるメシマコブも、有効成分の差異や成長の遅速の違いもあるはずで、限りのない未知の研究にワクワクしながら努めているところです。
最近はガン患者も多く、病気の人は何かガン抑制効果があるのではないかと聞けば一日でも早く使用を待ち望んでおられる人も多いはずです。そんな人達の気持ちに少しでも寄り添い、何とか応援できることはないかと思うところです。量的には栽培物の商品化が望まれますが、しばらく時間が必要です。そこで膵臓ガンを克服した姉のような奇跡的な例もありますから、メシマコブを粉末にして、キノコ茶として飲食していただける方向をめざしています。国産の天然メシマコブということになると数量に限りはありますが、今のところ何とか限定商品として販売することは可能かと思います。

産官学連携による地域活性化

 メシマコブの研究開発は、期待と課題が大きくてやりがいのある研究です。従って組織的に取り組みそれぞれの立場の人の知恵や技術を活かしながら進めていく必要があります。そこで産としては株式会社サンシャインF&C、官としては市役所、学としては神奈川工科大学ということで2024年1月14日三者の挨拶と連携の確認、情報交換を行いました。今後栽培技術の確立、生薬としての分析、医療分野での臨床など研究課題は大きいものがあります。目下、大学との共同研究として多方面から取り組んでおり、その成果が期待されます。このことは大学の広報としての貢献は勿論のこと、メシマコブが生まれ育った村で栽培を行うことによって産業としての振興と経済の活性化により地域創生に大きく貢献できるはずです。何よりも世の為人の為、社会貢献ができることにやりがいと喜びがあり、天命だと思って取り組んでいるところです。

「南の国から」 今後の展望

 法人としてのアグリサンアカデミア、利益追求を目的としたサンシャインF&C、活動拠点がファームにある和食風水、それぞれの目的を達成し、全国から多くの人々が研修や遊びにきていただけるようなサンシャインファームとなるように夢の実現をめざします。世の中はオンライン中心の交流になりがちですが、美腸発酵フードアドバイザーの方々の中にはサンシャインファームを聖地のように感じておられる人もいて、農園感謝祭には毎年全国から集い、face to faceによる前夜祭や当日の交流会を楽しんでおられます。これも「南の国から」の特色の一つであり、全国に誇れる姿です。今後はASA会員の拡大と美腸発酵フードアドバイザーの皆さんの拡充を軸とし、全国の多くのファンクラブの皆さんと研修や交流が行えるように更なる農園の整備や施設の充実を計っていきます。そのためにもメシマコブの研究開発の成功は不可欠で、そのことで売りのある全国に誇れる農園になるものと確信しています。「南の国から」は今後も安心・安全・健康・美を追求する農園として発信していきます。最終的な目標としては、農園の中にメシマコブ研究所の設立、またはワイナリーが望まれ、そこまで辿り着いたとき時、サンシャインファームは「北の国から」への恋慕が実り、全国に誇れる農園となり、「南の国から」の夢の旅も終着駅を迎えることになりそうです。